医療情報技師を応援するブログ

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サイバーセキュリティ強化!病院に朗報の新ツール登場

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2月は、マイナ保険証や電子処方箋など病院のDXにまつわるニュースが多く報道されました。その中から、医療情報技師の私が注目したものを3本、取り上げて紹介します。

 

「完璧に失敗」マイナ保険証、国家公務員の利用率4.36%にあふれる憤慨…河野大臣“過去の発言”への批判も再燃

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週刊誌の記事なのでタイトルが煽り気味ですが、マイナ保険証の利用率は11月時点で4.34%と低迷しており、公務員ですら利用率が一桁台ということです。マイナ保険証は国策として補助金付きで進められていますが、依然として普及はしていません。

医療機関には去年4月から導入が義務化されているため、どこの病院でもマイナ保険証は使えるようになっています。それでも利用率が低いということは、肝心の患者側にニーズがない、ということが露呈したと言えます。

 

とはいっても今年秋には現行の健康保険証が廃止され、マイナ保険証への移行が予定されています。マイナンバーカードを持たない人には「資格確認証」が交付されることとなっており、これもまた現場の混乱を招きそうで怖いです…。

病院としては、導入するのは構わないのですが制度を統一してほしいというのが率直な意見。マイナンバーカードのリニューアルも計画されているようですし、現行のカードリーダーで読み取れるのか、資格確認証はどのような形式なのか、いまだ不透明なことばかりです。

IT化で業務の効率化を図るどころか、窓口での確認作業が負担になるようでは逆効果。利用者のニーズに沿った政策を進めてほしいものです。

 

電子処方箋導入、全国でわずか32病院 「お見合い状態」普及進まず

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こちらもマイナ保険証がらみのニュース。電子処方箋システムが全国の病院で30か所しかなく、すべての医療機関や薬局を対象にしても6%の利用率に留まっているとのことです。

電子処方箋は昨年の4月から運用がスタートした制度で、マイナ保険証で使われる「オンライン資格確認システム」を土台とした情報共有プラットフォームです。しかしこれもなかなかハードルが高く、遅々として普及が進んでいません。

 

記事中にある「複数のシステム改修が必要となる」「患者からの要請がなくニーズを感じない」といった声がまさにその通りで、予算をかける割には得られる効果が低い、ということが二の足を踏む原因でしょう。DXを進めたい国の意気込みは分かりますが、ゴリ押しではやはり物事は進まないということですね…。

 

サイバー犯罪集団「ロックビット」主要メンバー摘発 サーバーも閉鎖

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こちらは明るいニュース。半田病院にランサムウェア攻撃を仕掛けたサイバー犯罪集団「ロックビット」の主要メンバーが摘発されたそうです。サイバー攻撃は泣き寝入りになるケースが多い中、主犯格が捕まるのは珍しい、というか喜ばしい事態。日本もやられっぱなしでは終わらせなかったんですね。

 

注目すべきは、ランサムウェアによって暗号化されたデータの復号ツールを警視庁が開発したところ。サイバー特別捜査隊が開発したそうです。ランサムウェアの復号は困難と言われてきましたが、IT分野では他国に水をあけられることの多い日本で生まれたことは大きな成果だと思います。

これまではランサムウェアの被害を受けた場合、古いバックアップデータを使ったり、電子カルテシステムを再構築したりするなど、多額の費用と労力を費やす必要がありました。ところがこのツールを使うことで、そうした手間をかけずに復号でデータを取り戻せるかもしれません。サイバー攻撃に翻弄される病院にとっては朗報となりました。