医療情報技師を応援するブログ

医療情報技師の仕事について現役の職員が語ります。

医療情報技師の役割と求められる能力

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chatGPTによる要約 医療情報技師の将来性について、現役の医療情報技師が語っています。まず、AIやサイバーセキュリティの強化により需要が増加しており、医療情報技師はその管理者として不可欠であると述べています。AIの導入やシステムトラブル時の迅速な対応が必要な医療現場で、専門的な知識を持つ医療情報技師が重要な役割を果たしていると指摘しています。また、機械に置き換えられない仕事であることや、医療業界の廃れの心配が少ない点も将来性を示唆しています。医療情報技師の活躍は医療業界に不可欠であり、安定して働ける一方で、求められる能力は進化していくため、スキルアップが必要と述べています。

 

医療情報技師の仕事に関心のある就活生や社会人が気になるのは、やはり将来性ですよね。

今回は、「医療情報技師ってあまり聞かない職種だけど、将来は大丈夫なの?」

「実際働いている人の本音はどうなの?」

といった疑問に答えます。

 

医療情報技師に将来性はある。むしろ成長分野である

現役の医療情報技師である私は、もちろん将来性があるという見方をしています。それどころか、むしろこれから重要性が増す成長分野だと考えています。

その理由を3つ説明します。

 

理由① AI化やサイバーセキュリティ強化のため、需要が増えるから

昨今、医療業界でもAIに注目が集まっています。内視鏡映像の分析など画像処理の分野においてはすでにAIが実戦投入されていますし、レセプト請求など事務処理の分野においてもAIを用いたオートメーションやRPAの活用がすでに行われています。このように、AIを医療現場へ導入し、適切に管理するためには、医療情報技師の存在が不可欠になります。

どんなハードウェアやソフトウェアであっても、それをメンテナンスしたりアップデートしたりする管理者が必要ですよね。

 

トラブルが起きたり故障したりしたときに即対応できる者がいなければ診療が滞ってしまいます。病院の職員として体感していることですが、救急の場ですので何よりスピードが求められます。

「明日対応します」では遅く、外注業者への依頼では済ませられない場面が多々あります。問題が起きたときに応急処置できる管理者を抜きにして、AI化は進められません。

 

ひと昔前までは、電子カルテのメンテナンスはパソコンに詳しい事務が兼務でやっていました。ところが年々システムが高度化・複雑化し専門職の必要性が出てきたことや、ますます医療現場をIT化するニーズが高まっていることから、企業と同じように情報管理システム部門を設ける病院が増えています。

 

今はどの年齢層もスマホを使う時代ですし、LINEを使って診察予約ができるところもあります。そうした患者のニーズに応えられる態勢を整えなければ、病院といえど競争に負け、淘汰されてしまう時代になっています。

政府主導でデジタル化を推進している今、核となってそれを進めていくのは医療情報技師です。

 

また、ここ数年で国内のいくつかの病院がサイバー攻撃を受け、診療不能に陥るセキュリティ事故も発生しました。数ヶ月もの間 診療ができなくなる重大なインシデントであり、国民の生活を脅かすものとして国は医療法を改正し、医療機関にサイバーセキュリティ対策を義務付けしたところです。(令和5年4月から改正医療法が施行)

サイバーセキュリティ対策を講じるには、医療情報システムに精通した医療情報技師の存在が欠かせません。これからは院内のIT専門家が主体となり、サイバー攻撃への備えや一元的なIT機器の管理・統制、職員へのリテラシー教育などを行っていくことになるでしょう。

 

ただし、病院の規模にもよりますが管理者は何人も必要ありません。少ないパイになることは予想されます。

 

理由② 機械に置き換えられない仕事だから

AIの目覚ましい発展に、最近では「AIによって世の中の多くの仕事は無くなる」という声も聞きますが、少なくとも医療情報技師の仕事が奪われることはない、と私は考えています。

この仕事は「ITを医療にどう活用するか」を考えることなので、「AIを病院でどう使えるか」を考えることはあっても、仕事がAIに奪われる事態は考えられません。医療情報技師の仕事は、機械に置き換えられないものです。

 


はるか昔、馬車から自動車へと移動手段が変わった時代には、多くの失業者が出た一方で新たな仕事も生まれました。テクノロジーの進化があってもそれを管理するのは最終的には人なのです。

つまり、医療情報技師の存在が不可欠になります。

 

今はマイナーな存在である医療情報技師ですが、将来性を考えるということは数十年先の世の中を想像するということですから、現状だけを見ていては判断を誤ってしまいます。


少し話が逸れますが、私が大学を卒業した頃、富士通や東芝に勤めた友人はみな将来安泰だと信じていました。 しかしIT業界の勢力図がここ15年くらいであっという間に塗り替わったのは、ご存知の通りですね。


パソコン販売数のシェアはアジア勢が占め、ガラケーは消え海外製のスマホが台頭。今では希望退職を募ったり業績不振に陥ったりなど、安泰と言える状況ではありません。

15年前に、こうなることを予測できた人は少ないでしょう。というより、「数十年先を想像する」なんてしていなかった、という表現が正しいと思います。


だからこそ、定年を見据えた転職を考えるなら「いずれこうなるのではないか」という予想図を描くことが大切になります。

 

理由③ 医療業界が廃れることはないから

医療情報技師が活躍する舞台は医療業界です。いち病院が潰れることはあるでしょうが、業界自体が廃れることはありません。地域には、必ず病院が必要です。

業界にも流行り廃りがありますが、社会に欠かせない存在であること。これも強みですね。

ITの世界は栄枯盛衰の激しい業界。優れたITサービスは人を魅了しますが、それだけに競争率も高く、勝ち残れない企業は淘汰されていきます。いろんな企業で働き経験値を積むのも、若いうちは良いですが、定年まで働くことをイメージできるでしょうか?


一方で病院は地元に根ざし、地域住民の健康を支える存在です。システムを安定維持する仕事は、病院が存在する限りいつまでも必要です。

また仕事の性質上、トラブルがなければ定時上がりでワークライフバランスも取れますので、体力が衰える定年までも安心して働けます。

 

ただし、医療情報技師として求められる能力は変わっていくでしょう。今は医師や看護師といった現場の職員も医療情報技師の資格を取り、情報処理の知識を身に着け主体的にIT化を進める時代です。


旧態依然としてはいられず、RPAのプログラムを自作するなどといったことも必要になるかもしれません。医療業界の進む先を注視しつつ、スキルアップしていくことが欠かせないですね。