医療情報技師を応援するブログ

医療情報技師の仕事について現役の職員が語ります。

医療情報技師の年収アップのための資格とキャリアアップ手段

※当ブログでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含みます。



chatGPTによる要約 医療情報技師の給与は、ベンダーと病院の2つの勤務先によって異なり、ベンダーでは他のSEと同等の待遇が期待できる一方、病院では事務員の給与水準が一般的である。記事では、医療情報技師が個人の努力で年収を上げる方法を提案している。具体的な方法としては、役職に就くことや資格を取得すること、転職すること、副業をすることが挙げられている。ただし、役職に就く場合は管理業務が中心となりSE業務が制限される一方で、注意が必要。副業は本業の給与向上が難しい場合の選択肢として提示されている。

 

医療情報技師の勤務先には、システムを開発する「ベンダー」と、そのユーザーである「病院」の2通りあります。ベンダーなら他分野のSEと同等の待遇が期待できますが、病院に勤める医療情報技師の給料は高いとはいえず、稼ぎに不満を持ちながら仕事をしている人も一定数いると思います。


この仕事は景気に左右されにくい分野であり、その点について不満はないのですが、給与水準はもう少し上がってほしいのが正直なところ。しかしそう簡単に上げられるものでもありません。

そこで今回は、病院勤務の医療情報技師が「個人の努力で」年収を上げる方法を考えます。


役職に就く

王道は、やはり役職に就くことですね。病院の情シス部門は、院長直属か事務部の下に置かれることが多いです。そのため出世は情シスの課長までが相場とみられます。その上となると院長は無理ですし、事務長を目指すとなればシステムとは別次元の能力が求められますから難易度が上がります。


役職に就くと管理業務が中心となりますので、当然ながらSEとしての仕事はなかなか出来なくなります。病院情報システムの運用や更改にかかる費用の予算取り、他部署から引き受ける仕事の調整・分担、新システムの導入検討といったマネジメント関係の業務が中心になります。


病院ごとにルールは違うでしょうが、役職に就くと一般的には年に1回の昇給幅が高くなったり、役職手当が支給されたりしますね。平社員のときは昇給といっても雀の涙だったかもしれませんが、役職だとその幅がグッと上がるので、長く勤めることで年収がアップしていきます。


役職に就くのが一番正攻法な年収の上げ方ではないでしょうか。ポストは限られているのですべての人が就けるわけではありませんが、給料の面でも、仕事のやりがいや意欲の面でも、出世し新たなステージに上がるのは大きな意義を持ちます。

 

情シスは専門職の度合いが強いため一般的ではありませんが、事務長へ登り詰める道ももちろんあり得ます。通常、医事や総務、経理といった事務方が事務長になるケースが多いですが、組織図上 情シスが事務部に所属するのであれば、出世すると事務長へ行くことができます。

医療情報技師の年収に見切りを付け、思い切って事務系の部署へ異動すればその道が見えてきます。実際、私の知人にも医療情報技師上がりの事務長がいます。ただし得意の情報系から離れるわけですから、性に合わない仕事をやらされる覚悟は必要です。

 

注意すべきは、役職の仕事や責任に見合う報酬がきちんと支払われるのか、という点。役職であることをいいことに仕事を振ってきたり、なにかと責任を取らされたりすることもあります。相応の範囲でならそれらは当然のことですが、少しの昇給で負担ばかり増すのではやっていられません。それで嫌気が差し、辞めていった役職者も私の周りにはいました。


特に病院は救命の場であることから、並の企業以上に重い責任が付きまといます。「いかに責任を取らないで済むか」ばかりを考えている、妙に立ち回りのうまい職員もいるので、警戒していないと足元をすくわれる場合があるので要注意です。役職に就いたら、この点はよく頭に入れておくべきだと思います。


役職についたらどんな待遇になるのかは、腹を割って話せるくらい仲の良い職員とじゃないと教えてもらえないもの。院内の交流幅が広いと、こうした情報を仕入れるにも役立つんですよね。

 

資格を取る

病院によっては、資格手当を支給しているところがあります。多くは「基本情報技術者」などの情報処理系国家資格が対象とされており、合格すると資格手当が給料に反映されます。

 

基本情報技術者試験は医療業界でもよく知られたIT系資格であり、ほどほど難易度のある国家資格であるため、報奨金として手当を出す病院があります。特にIT化やDX化に注力しているところでは、職員のITスキル向上を促すため手当にも力を入れていると思われます。


「医療情報技師」の資格に手当を出してくれるところは意外と少数派。しかし、病院機能評価でその存在が評価されるなど病院にとってプラスになる資格なので、手当を出してくれてもいいと思うのですが・・・。しかもこの資格は維持するために学会やeラーニングへの出席が必要で、交通費や受講料などが掛かります。病院で出してくれないのなら自腹で出すしかなく、結果 資格を更新できず失効してしまう人もいますね。


医療情報技師の国家資格化も、長年切望されていることですが実現していません。電子カルテという病院の心臓部を管理する重要な役割でありながら、その存在は重要視されていないのが現状です。

度重なる病院へのサイバー攻撃や、医療法でのサイバーセキュリティ対策義務化を機に、医療情報技師の評価が見直されることを切に願うばかりです。

 

転職する

今の職場で昇給が望めないなら、思い切って転職してしまうのも手です。病床数の多い大規模病院のほうが多忙になるぶん、一般的には給料が高くなります。

医療情報技師の待遇は病院によってまちまちで、情シス部門をしっかり設けて専任のSEを雇っているところもあれば、総務課の人間が片手間でやっているところもあります。中小の規模ではどうしても専任の医療情報技師を置く余裕がなく、ひとり情シス、しかも雑用レベルの仕事まで回されるような、何でも屋的な位置づけになりがち。


病院の規模が大きければ大きいほど、稼働するシステムも複雑・多岐になり、そのぶん専任の管理者が置かれ、分業化されます。トラブル対応やヘルプデスクだけでなく、院内で使うシステムを内製するなど本来のSE業に近い業務を行うこともあります。そうした場合は、もちろんIT専門家としての腕が評価されますので、他の事務職よりは給料が高くなるでしょう。


しかし、給料が上がる反面、怒涛の日々を送ることも想定しておく必要があります。システムの規模が大きいほど故障やトラブルも起きやすくなるため、万が一のときは夜中や休日であってもお構いなしに呼ばれ、復旧にあたります。小さいところだと「休み明けでいっか」となりますが、高度にシステム化された病院ではそうはいきません。

実は緊急の呼び出しというのは、医療従事者にとっては日常茶飯事。看護師や放射線技師などは休みであっても緊急事態には招集がかかりますので、自宅で待機していないといけないこともあります(待機手当が出たりします)。医療情報技師もそのうちの一人ということです。

 

いっそのこと院内SEを辞めたい、という方は、ベンダー勤務の医療情報技師に転職する方法もあります。病院勤務の経験は、医療情報システムの開発に活かせるはずですので、その点では他のSEよりも優位だと言えます。

 

副業をする

昇進や資格手当が望めないなら、いっそのこと本業での年収アップを諦めて、副業をするのも一つの手です。

 

医療情報技師の仕事は売上に繋がらないので、病院内でなかなかその存在を評価されることがありません。他のコメディカルは診療報酬の算定可否に関与することが多いので、頑張れば施設基準の取得に繋がり収益アップに貢献しますが、医療情報技師はいくら頑張っても売上には直接関与できません。病院情報システムにかかる予算を抑えたり、外部委託していたものを内製したりなどして経費を落とすことは可能ですが、なかなか見向いてもらえないのが現状。

本業での収入増が見込めないなら、副業に活路を見出すしかありませんよね。

 

ところで、医療従事者には副業をしている人が割といます。医師はバイトで他院の外来診療や当直業務を行ったりしますし、病院勤務の看護師や理学・作業療法士が専門学校の講師を務めたり、ケースワーカーが介護認定審査会委員をしていたりします。専門分野の知識を活かした院外活動によって稼いでいるわけですね。
これらは勤務先から頼まれてやっていたり、個人的な繋がりで受けていたりと経緯はさまざま。医師の診療応援は日常茶飯事ですし、講師や審査委員なども学校や自治体の要請で決まったりもします。いわば職場公認の副業になるわけで、羨ましいですよね・・・。


医療情報技師の技能を活かせる稼ぎ口があれば職場公認で年収を上げることもできるのでしょうが、現状はそうした状況にはありません。やはり正攻法で昇進を目指すか、難しい場合は資格手当や副業などで収入の経路を増やす手を考えるべきかもしれません。

 

年収を上げるのはどの職種でも一筋縄ではいかないことですが、かといって社会保障の増税や物価高は待ってはくれず、家計は苦しくなる一方。なんとか少しでも収入を得る工夫をして、年収アップの道を考えたいものです。