現役の医療情報技師である私が、この仕事に就くために必要な資格を紹介します。
【必須資格】 基本情報技術者
必須資格が「基本情報技術者」です。理由は、システムエンジニアとしての知識を相手にわかりやすくアピールできるから。
病院の職員は医療の専門集団なので、システムに詳しくありません。情シス(情報システム部門)が存在せず、パソコンに詳しい総務課の職員が兼務でシステム管理をしているところもあるくらいです。
このため、シスコ系やオラクル系などの専門的で難易度の高い資格をアピールしても、「どれくらい凄いのか」「何ができるのか」があまり伝わりません。
基本情報技術者はIT系国家資格の代表格なので、ITに詳しくなくても採用担当者であれば知っています。応用情報技術者以上のIPA系は持っているに越したことはないですが、正直「違いがよく分からない」で終わってしまう可能性があります。逆にITパスポートだと、「ちょっとパソコンに詳しい人」でも合格できてしまうので能力としては力不足。
また、医療従事者はほとんどが国家資格を持っているため、単純ですが「国家資格」をアピールするのが最もわかりやすいのです。あまり知られていない民間資格を持っていても「なにそれ?」で済まされてしまいます。
医療情報技師にとって資格は必須ではありませんので、無くても仕事はできます。しかしそうなると雇用主は経歴と自己PRだけで判断するしかなく、それにはリスクを伴います。採用担当者は「なんの資格も持っていないのに大丈夫か?」という不安を拭い切れません。
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【推奨資格】 マイクロソフト オフィス スペシャリスト
Microsoft Office(Word、Excel、PowerPointなど)の知識を問う資格です。
医療情報技師にはコードを書くような仕事はほとんどなく、既存システムの安定稼働が仕事。パソコンに詳しいことから、Officeソフトを使って「こんなことできないか?」と相談を受けることも多々あります。
私も実際に、医師が学会で発表するスライドを作ったり、会議に使う資料のブラッシュアップをしたりしてきました。
そのため、Officeソフトを駆使できることは強みになります。マイクロソフト オフィス スペシャリストは、IT系というよりは事務系に近いですが、ハローワークの職業訓練でも到達目標として据えられるくらいのメジャーな資格なので、知名度があります。
「お、Officeに詳しいなら統計資料の作成も頼めるな」というイメージを相手に持たせることができるでしょう。
「Officeの資格なんて取得する価値ないでしょ?」と、SEなら思うかもしれません。確かに、パソコンに長けたSEからすればOfficeはそれなりに扱えますし、わざわざ資格を取るまでもないことかもしれません。
しかしここで大事なのは「相手に価値が伝わる資格」を持っていること、すなわち「履歴書に書いたときに、採用担当者の目に留まるか」です。
例えばCCNAとかCCNPといった資格を列挙したところで、「つまりこの人は何ができるのか」はイメージしづらいわけです。相手はたくさんの履歴書の中から厳選して採用するわけですから、パッと見て印象に残る資格を持つことが、採用を勝ち取る上で大切になってきます。
【あれば強い資格】 医療情報技師
「医療情報技師」があれば、鬼に金棒と言えます。応募条件として、医療情報技師を挙げている求人も多々あります。
ところが、病院勤務をする前に取得するとなると少し厄介なのが難点。SEにとってはまるで畑違いの「医学」「医療情報システム」の分野を勉強しなければなりません。
SEが院内SEに転職する場合、病院で働いたことのない人がほとんどでしょう。勤務したことのある人であれば経験でなんとなく分かる部分もあるのですが、それができないとなれば独学で勉強するしかありません。
慣れない分野で苦労するかもしれませんが、さじを投げるほど難しいレベルではありません。過去問を繰り返し解けば、合格できる見込みは十分あります。
「まともにアピールできる長所がない」
「自分の評価を上げてくれる武器がほしい」
と思う方は、挑戦してみるのも手です。
▼医療情報技師の資格を一発で取るための勉強方法
相手に伝わる資格で勝負しよう。資格がなければ自己PRで頑張ろう
ここで伝えたいのは、アピールには「相手に伝わるわかりやすさ」が大切だということ。小難しい名称の資格を列挙したところで、肝心の相手に理解されなければ意味がありません。
「これだけ資格を持っているんだから、能力があるのは分かるはず」と思っても、採用担当者が期待する的から外れていれば「うちでどんな仕事ができるのかな?」で終わってしまいます。
「この資格を持っているなら、うちのこういう業務に役立つぞ」というイメージを持たせることができれば、採用が見えてくるはずです。
逆にイメージを持たせられるなら、今回取り上げた資格は必ずしも必要ではないとも言えます。採用は資格がすべてではありませんので、履歴書や面接で「役立ちますアピール」ができればよいわけです。自己アピール次第では、資格以上に採用担当者の目に留まるかもしれません。